10年以上前の話である。
ひょんなことから、ある組織を引き継ぐことになった。
引き継ぐ前にその組織に対して感じていたは
- ここはものすごく人間関係が悪い
- 雰囲気がどんよりしてる
- 敵対している人が多すぎる
- 派閥があっての敵対ではなく、なぜかみんなバラバラだ
上記のようなものだった。
引き継いだ後、この中で最も年長だった男性が、親しげに近寄ってきた。僕よりも経験豊富に映った彼に、色々な相談をしているうちに仲良くなっていった。
彼はいろんな情報を僕に提供してくれていた。
口が達者で論理的に話すのが上手だった。自分にないものを持つ彼に憧れを覚えた。

Aがこんな事を企んでいる

Bが見えないところでこんなことをしていた
などなど、彼は細かいことを逐一報告をしてくれた。
僕はいつしか彼にすっかり依存してしまい洗脳されてしまっていた。
彼以外の組織の人間のほぼ全員が、敵に見えだし不信感だけが募っていった。
もちろんそんな状態で組織の運営がスムーズにいくわけがない。
心身ともにパンクしそうだった僕は「一度脳内をクリアにしよう!」と思い立ち、その組織に関するあらゆることを紙に書き出していた。
そしてある揺るぎない結論に達した。
この組織を揉めさせているのは、側近のように振る舞い情報を提供し続けるあの男であると…。
僕は思い切って彼に辞めてもらうことにした。
一悶着あったが、やがて彼は組織を去り、その後一気に組織の雰囲気が変化。みんなの笑顔が格段に増えた。
兄弟も、夫婦も同様であるが、広布の組織においては「仲が良い」ことが1番大切である。「仲良くしていこう」と思える人は幸せである。「仲良くしていこう」と心を配り、行動していける人は立派である。心がきれいであり、豊かな人である。反対に、仲良くなれない人、楽しい団結を壊す人ー
— 厶マ🐧🦁🦄🐳🌸👮♀️ (@sXFFHSDD6Y6sub5) October 28, 2020
心がものすごく楽になったことを、今でも鮮明に覚えている。
暗雲が消え去り、ぱあっと晴れ渡ったような爽快感を覚えた。
縁切りは縁起自体を変える効果があり、ときに組織や人間関係自体を劇的に良くさせるのだ。
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彼から書き込まれた情報をもとに見ると、様々なものが黒に見えていた。しかし、黒に見えたそれらのことはグレーの範疇で、実は断罪すべきことではなかったということが徐々にわかってきた。
人間なので、誰しも一長一短があって当たり前である。
短所にばかり目を向けられていては誰だって辛い。
側近のふりをしたた彼は、人の短所ばかりクローズアップし、「あいつは信頼できない人間ですよ」と説得する技術が天才的だった。
「これまでもそのスキルを使い続けて生きてきたのでは…?」と、いぶかりたくなるほど、淀みなく話すのである。
厄介なスキルをほめる気などないのだが、多面的な対象に対して、一面的な見方のみしかできないような情報の提供を意図的に続けられる人間は洗脳するのが上手い。
マスメディアのやり口と全く同じである。
誰かを貶めることで、自分の地位を守ろうとしていたのかもしれない。
誰かとポジティブな人間関係を構築するのは苦手なのに、人を揉めさすことに関しては異常にクリエイティブ。
サイコパスというよりソシオパスのカテゴリーに該当する人間だったように思う。
「ナイトクローラー」のルイス・ブルーム
殺人鬼以外では1番じゃないでしょうか
というかソシオパスかな…#映画史上最高のサイコキャラを挙げる pic.twitter.com/cti1cr0OZu
— ナマクラ@namacra (@namacrancher) January 26, 2021
彼のやり口や真意を、すぐに見抜けなかった僕は、まだまだ世の中は性善説で動いていると信じており、あまりに未熟だったという他ない。
これも彼がいなくなってわかったことだが、みんなから「組織を攪乱させ揉めさせる非常に厄介な人間」と認定されてしまった彼は、普段の素行から信頼を失っており、誰にも相手されていなかったのだ。
寂しさか、対抗心か、はたまた低すぎる自己肯定感が根っこにあるのかはわからない。組織で浮いてしまってから彼は、ただひたすらみんなを対立させるような立ち回りをした。
恐らく当人も、自分がどんな行動をしているか自覚がなかったのではないかと想像している。
無意識の復讐心に突き動かされていたのではないだろうか?
もちろん組織の中で起こった全てのゴタゴタが彼に起因していると主張する気はない。ただし、彼の暗躍がみんなをじわじわと苦しめていたのは間違いなかった。
彼がいなくなり組織が健全化した後、「友達のように友好的な態度を表面的には取りながら実は敵である存在」というフレネミーの概念を知った。
ル・カレの小説を読んでいたら突然でてきた知らない単語「frenemy/フレネミー」ちょっとした性癖だったので置いておきます。 pic.twitter.com/w5roy7HgEO
— 尾崎 🦇 (@ozaki_wolkig) February 18, 2021
いろいろ情報を提供し続け、頼まれもしない諜報活動を続けていた彼は間違いなくフレネミーであったのだろう。
フレネミーの彼は、爬虫類のような顔と空虚な瞳をしていたのが印象的であった。
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