こちらの記事は
①現在の職場にクラッシャー上司が人がいる ②職場のクラッシャー上司に日々、攻撃されている ③クラッシャ-上司そのものに興味がある |
上記に該当する、あなたに向けて書いています。
僕もかつてクラッシャー上司の元で、数年間過ごしたことがありました。
僕自身の体験も織り交ぜながら解説してきます。
クラッシャー上司って何?
Amazonのサイトから内容紹介を引用します。
「俺はね、(部下を)5人潰して役員になったんだよ」。大手某社に精神科産業医である著者が招かれた際、その会社の常務が言い放った言葉である。このように部下を精神的に潰しながらどんどん出世していく人たちのことを、精神科医の牛島定信氏と彼の教え子である著者は「クラッシャー上司」と名付けた。
精神科医の牛島定信さん、彼の教え子である松崎一葉さん(筑波大学教授)が生み出したワード。
部下をどんどん疲弊させ、やがて潰してしまう上司を指します。
2017年1月に出版された松崎さんの著書『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』は、一躍話題に。
パワハラ上司とクラッシャー上司は似た意味を持っています。しかしクラッシャー上司は、さらにその特徴を深掘りしたワード。
多くの人がその存在を知りつつも、ラベリングできなかった『クラッシャー上司』という人物像を、松崎さんは見事に定義しました。
なぜクラッシャー上司は厄介なのか?
クラッシャー上司は、部下を病ませます。
会社からすれば人材育成の妨げをする彼ら。人間的な問題を抱えるクラッシャー上司が、除外されてもおかしくありません。
なのに、どうして存在し続けるの…?
と素朴な疑問が浮かびます。
彼らの厄介な点、それは仕事がよくできること。
もし生産性が低ければ即刻リストラされている、非常にクセの強い人たちです。
ただし成果を上げる術に長けているため、会社からすれば「問題はあるけど、クビにしづらい人」といった位置づけになるのでしょう。
クラッシャー上司は「仕事ができなければ自分の存在価値がない」とわかっています。
なので命がけでパワフルに働きますし、元々、仕事をするにあたって必要とされる能力を複数兼ね備えており、頭脳が優秀で明晰な人も少なくありません。
クラッシャー上司の特徴
クラッシャー上司の特徴は、仕事ができること以外にも複数あります。
・エネルギッシュでバリバリ仕事をする ・高圧的で傲慢 ・「自分ルール、自分の正義が絶対である」というのが信念 ・プライドが高い ・「ありがとう」「ごめんなさい」を口にするのが苦手 ・ディベート能力が高い ・場を制圧するのに長けている ・主導権を握るのが上手い ・負けず嫌いで競争が大好き ・敵視した人間はとことん攻撃する ・他者から欠点を指摘されると激怒する ・共感能力が低い ・自省、内省する習慣が少ない ・他罰的、他責的 ・気分屋 ・他者へ何かと要求する |
ズラリと並びましたね。上記がクラッシャー上司の主な特徴。
いくら仕事ができても、「このような性格の人と接したい人は皆無」といえる項目が目白押し。
「仕事はできるけど、人間的に多大な問題がある」というのがクラッシャー上司なのです。
【参考記事|癖が強い厄介で面倒な人の特徴と対処法については▼】
【体験談】クラッシャー上司の元での労働
ここからは僕自身がクラッシャー上司の元で、働いていた体験談を書いていきます。
今、僕は三十代後半のアラフォーですが、さかのぼること十年以上前。二十代の頃、勤めていた職場にクラッシャー上司がいました。
小規模な出版系の会社で、個性的な人が多かったですね。
僕がクラッシャー上司を見た際の第一印象。それは…
・声が大きくて、クセが強そう ・実際の自分よりも大きく見せようとしている ・何かに怯えているのを隠そうとしている |
というもの。
彼は50代手前でしたが、実年齢よりも若く映り、活力みなぎる男性という感じでした。
クラッシャー上司に潰されたC子さん
僕が入社した頃、クラッシャー上司の下には女性の部下がいました。
小柄でかわいらしいC子さんを見た僕は
仲良くなれると嬉しいな~
とよこしまな心が少々あったのは否めません(笑)
そんなことはさておき…C子さんの様子が、どんどん変わっていくのを僕は目の当たりすることに…。
クラッシャー上司の指導を受けていたC子さんは、日に日に弱っていきました。やがて笑顔が消え無表情になりに、目はどこを見ているのかわからないように。
誰が見ても「彼女は病んでいる…」というのが、ひと目で判断できます。
クラッシャー上司が、C子さんに感情的な物言いをしている場面をしばしば目的。「俺はお前のためを思って言ってるんだぞ!」と彼は繰り返していました。
ある日からC子さんは出勤しなくなりました。あとで知ったのですが、鬱になり出社できなくなったそうです。
「少しは自分を省みるのかな?」と、クラッシャー上司を見ていたのですが、まるで悪びれていません。
それどころか「最近の若い奴は少し鍛えるだけで、すぐに壊れる」と、ご立腹。
若く経験不足だった僕も「この人はヤバい…」と、さすがに気づきました。
【部下への「もの言い」が強すぎる上司の記事は▼】
クラッシャー上司に取り込まれそうになる日々
アクの強い彼は、社内で浮いていました。
社交性があまりない僕は、入社後それほど会社になじめておらず、孤独を抱えていた上司からすれば「声をかけやすい対象」だったのでしょう。
ある日、仕事終わりに飲みに誘われたのです。
押しの強いクラッシャー上司相手に、断ることはできませんでした。
このようにクラッシャー上司は「押しに弱い性格」の人間を見抜く術に長けています。
毎日続く居酒屋巡り
クラッシャー上司はお酒が大好き。僕も飲めない方ではないので、付き合いました。
もちろん気を使うお酒なので、美味しいわけありません。
彼が意気揚々と語る「仕事の心得」みたいなものを、たくさん聞きました。クラッシャー上司は仕事ができるため、勉強になる情報があったも事実。
今振り返ると、そのスタンスが良くなかったのですね。
次第にクラッシャー上司との距離が、どんどん縮まっていったのです。
クラッシャー上司は眠らない
バイタイリティーあふれるのがクラッシャー上司の特徴です。彼もそれに該当。
一睡もしないわけではありませんが、とにかくタフ。
某商品のキャッチコピー「24時間戦えますか?」を、実践できる人なのです。
ほとんど眠らなくてもバリバリ働ける! |
というのがクラッシャー上司の自慢。彼はそれを僕にも求めるようになりました。
朝方まで飲んで、そのまま数時間眠り会社に行くことも…。
眠らないで働いていると、クラッシャー上司はご機嫌です。「俺もお前みたいに眠らず働いたから、のし上がれたんだ」と、ご満悦でした。
メモ:ハラスメントをしてはいけない本当の理由は明白で、イノベーションを潰すから。 クラッシャー上司は自分のコピーをつくる。
— js29 (@jargonsound29) February 27, 2019
僕はショートスリーパーではありません。コンディションが崩れ出し、仕事にも支障が出始めます。
他の上司から注意を受けるようになりました。
クラッシャー上司は飲みに行く度に「この会社は俺以外は無能なので耳に入れなくていい」と言います。
寝てない頭では正常な判断ができません。僕はぼんやりと「確かにそうかも…?」と思いそうになっていました。
そう考えた方が楽だったのかもしれませんね。
冷静に考えれば、このときの僕はまともじゃありませんでした。クラッシャー上司の洗脳をたっぷり受けていましたね。
クラッシャー上司じゃない、まともな上司に相談
ある日、別の上司に呼ばれて話をすることに。
クラッシャー上司に連れ回され、朦朧とした頭だったのですが、集中力を無理やり高めて、別の上司とふたりで話しました。
勤務態度などを叱責されたのです。
その上司はクラッシャー上司と違い、人望を集めていた男性。厳しさと優しさの両方をバランス良く持っておられました。
クラッシャー上司と飲んでいる際、人格者上司の話が頻出。
「あいつの聖人君子ぶってるところが気に入らない」と、クラッシャー上司はくだを巻いていました。
自分がないものを持っている人格者上司が、ねたましかったのでしょう。
人格者上司の言っていることはもっともで、反論する余地がありません。
巻き込まれてしまったのは、僕の弱さが原因。
僕は人格者上司に本音を話しました。
もうあの人と離れたいんです…
クラッシャー上司は、僕の言葉に耳を傾けてくれました。
反論を一切、許さなかったクラッシャー上司とは正反対だと、そのスタンスに感動。
一切合切、この人に話してみようと決意しました。
僕は
・C子さんみたいに潰された人が過去に何人もいたのでは? ・なぜ会社はクラッシャー上司をずっと在籍させるのか? |
上記について尋ねました。
人格者上司は、申し訳なさそうに「確かに彼は強引で部下を次々に潰す。しかし残業をいとわないし、利益を出している」と返します。
そして、
君はつぶれないうちに、退職した方がいいかもね
とおっしゃいました。
過去に「何人もの若者がつぶされる様を見てきた」からこその発言だったのでしょう。
人格者上司はクラッシャー上司と一定の距離を保っていました。直接対決は避けていたように映りました。
やはりそれをしてしまうと、人格者上司が潰されてしまうかもしれませんし、両者ノーダメージではいられないでしょう。
とりあえず乗り切った。ヤツの下で私は今期3人目のメンクリ通院者。ウチ1名休職。1名PTSDの診断書で即退職。私2週間引き篭もりの末他部署異動。
ヤツを公共的な広報とかオンライン記事とかで名前見ると即捨てるし、スマホ壊したくなる。雑誌ももちろん買わない。#クラッシャー上司— ゆう (@u_1215_u) February 22, 2019
僕はその場で「辞職or継続」について、返事することはしませんでした。
睡眠不足の頭で考えるよりは、もっと時間をかけて答えを出そうと思ったのです。
数週間後に出した結論は、やはり「会社を辞める」でした。
クラッシャー上司のターゲットから相談
クラッシャー上司からは「根性なしが」「見損なったぞ」「裏切り者」「お前は冷たいやつだ」といった言葉を浴びせられました。
しかし想定していたので、ショックはそれほどありませんでした。
クラッシャー上司系の人たちの発言には、パターンがある気がします。
【自分と他人に悪影響を与えるヤバい口癖の記事はこちら↓】
僕よりもあとに入社してきた人がいた男性がひとりいました。気弱そうですが真面目に仕事をするタイプの男の子。
どこか自分と重なる部分があったのも確か。
そんなに親しくしていなかった彼から、退社後に連絡がきたことに驚きました。
「クラッシャー上司のターゲットにされてしまい潰れてしまいそう…」というのが相談内容。
つらそうな彼を見て「かつての自分を見ているようだ」と感じました。
すでに違う職場で働いていた僕のスケープゴートのようにも映りました。
僕は「精神が潰れそうだったらすぐやめた方がいい」「場合によっては無断欠勤でのフェイトアウトもいいと思う」と告げました。
人格者上司は話を聞いてくれる人であることを伝えたあと、僕はあえてクラッシャー上司の悪口をたくさん言うことにしたのです。
クラッシャー上司の悪口で盛り上がる
最初は「そんなこと言っていいんですか?」とこわばった顔をしていた彼も、意を決したのか、やがて一緒に悪口を言い始めました。
人の悪口、陰口はなるべく言わないようにしているのですが、「目の前の人間が悪口で元気を取り戻すのなら、そのときだけはOK」というのは僕のスタンス。
感情を吐き出すことで、次第に活力を取り戻していきました。
彼も数ヶ月後に退社することになったのですが、久々に会うと別人のように変化。
前職でクラッシャー上司がいて怒鳴るわ人格否定するわで、お前はダメだ!とか言われながらものらりくらりとやってた。いつか見てろよと思ってたけど鑑定士取って転職したらどうでもよくなった。
その後周りも扱いに困ったようで左遷されたそう。あのときぶっかけられた言葉は何の意味があったのか。— たいたん (@30stitans) March 1, 2019
クラッシャー上司との禍々しい縁が切れたことで、お互いさわやかな表情になれていたのが嬉しかったです!
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クラッシャー上司への対応策は?
かなり厄介なクラッシャー上司。
不運にも近くにそういう人がいたら、どうすればいいのでしょう?
思いつく限りの対応策を挙げていきます。
・距離をとる ・上辺だけの会話に終始する ・会話中は反論せずに上辺の肯定をしておく ・社内で信用できる人に相談する ・社外の人に「こういう人がいるんだけど」と相談する ・勇気を出して反論してみる ・クラッシャー上司のいないところに転職 |
などが浮かびました。
「勇気を出して反論」は、あまりおすすめできません。
繰り返しになりますが、彼らは自分の価値観が最も正しいと思い込んでいます。
そして強く見えるけど、もろいところがあるのもクラッシャー上司の特徴。
非を認めるのは、自分が崩壊するのと同じだと無意識に感じているのです。
だから「ごめんなさい」という機会が、ほとんどありません。
反省を望むのは難しいでしょう。
クラッシャー上司と精神的な距離をとる方法
今から記す方法は、どの方でも実践できるというわけではありません。
「心のコントロールが人よりも上手」という人に、おすすめです。
クラッシャー上司は存在感が強烈。
被害を受けた人は、目の前に彼がいない状況でも
あんな理不尽なことを言われた…
と尾を引くこともあるでしょう。
累積した悔しさややるせなさが、恨みに変化するという経験は、僕もしています。そうなってからでは精神を制御するのは中々難しいもの。
経験があるのでとてもよくわかるのですが、無理やり押さえた怒りというのは、帰宅した後、フツフツと湧いてくることも頻繁にありました。
前置きがなくなりましたが、クラッシャー上司による精神的負担を減らす具体的な方法を書きます。
クラッシャー上司を下に見る
クラッシャー上司はいうならば、刃物を振り回す子供みたいな存在。
ただし大人の力と脳を持っているので、たちが悪いのです。
クラッシャー上司になる人の多くは、愛情や承認を十分に受けていなことが多いのではないのではないでしょうか。
愛された人間は、余裕を持って人に接することができるもの。
それができない彼らは、実年齢相応に精神が成長していません。未成熟な人格のまま、もがき苦しんでいるのです。
しかしプライドが高いため、自己開示ができません。それがクラッシャー上司をまた苦しめてしまうのですね。
やたらと自身を誇示したがクラッシャー上司の心は、砂漠のようにカラカラ。乾ききっています。
不機嫌な赤ちゃんのように泣き叫び、周囲を自分の思うままにコントロールしようとする極めて幼児的で未熟
見た目はおじさんであることも多いのですが、中身は「自らのエゴをコントロールできない子供」だと考えて間違いありません。
しかもそれを自ら認める強さがないのです。強烈な劣等感が根底にあるケースも、見受けられるでしょう。
強がってるけど、かわいそうな人だったのね
と本質に気づかれた人もいるはず。
彼らの不条理に傷つけられないためにも、「かわいそうな人が今日も暴れている」と、あえて下に見るというやり方もあります。
先ほど記したように、クラッシャー上司は基本的に自省ができない性格。だから誰かを攻撃して、無意識の憂さ晴らしを試みます。
しかし結果的に周囲も本人も不幸になるという最悪の状態を作り出さないと、生きていけない人たちなのです。
クラッシャー上司の精神は、極めて不健全な状態なのは言わずもがなでしょう。
【癖がある人、厄介で面倒な人の特徴をまとめた記事はこちら⇓】
嫌われたクラシャー上司の末路は?
クラッシャー上司は有能でパワフル。しかしずっと元気に動き続けているのでしょうか?
下記の引用文をお読みください。
メーカーで地方営業所次長を務めていたDは、営業の結果は出してくるが、部下を2人をつぶし、家庭でもDVをふるう「クラッシャー」でした。その彼は、奥さんと子供が“夜逃げ”したのを機に、うつ病になってしまう。「妻の不満には全く気付かず」「部下に厳しかったのは確かだが、それもよかれと思ってやっていた」と話していました。
出典:窮地のクラッシャー上司は、あの言葉を繰り返す『クラッシャー上司』著者・松崎一葉さん×河合 薫 特別対談(2)日経ビジネス
さすがのクラッシャー上司も、愛している家族から三行半を突きつけられればダメージがあったというお話。
下記のようなケースもあるそうです。
松崎:また、本で紹介した事例1のクラッシャー上司Aは、本の中では詳しく触れていませんが、最後は本人がメンタルに不調を来してしまった。何でうつになっちゃうかというとね、彼がクラッシュした若い女性社員の次に来たのが、帰国子女だったから。
河合:帰国子女が原因???
松崎:仕事はとてもできたそうです、ただ、帰国子女である彼女には、日本的な同調圧力だとか、あうんの呼吸が分からない。それで彼は余計頑なに、「お前のために鍛えてやっているんだよ」みたいな言い方でかかわろうとするわけです。
するとね、「えっ、いや、別にいいです」みたいな反応で。帰国子女だから。「暖簾に腕押し」で、その部下の業務を自分で担うようになってオーバーワークになり、最終的にはメンタルを壊したんです。
出典:窮地のクラッシャー上司は、あの言葉を繰り返す『クラッシャー上司』著者・松崎一葉さん×河合 薫 特別対談(2)日経ビジネス
人を大切にしてこなかった報いが、自らに戻ってきたという2つの例。
傷つけた総量が大きければ大きいほど、ブーメランになったとき立ち直れないほどの傷つき方をするのかも?
「絶対正しい!」という思い込みで、クラッシャー上司化
傲慢さの根っこにあるもの。それは弱さではないでしょうか?
クラッシャー上司の第一印象は、僕の場合「虚勢を張って大きく見せようとしている怯えた人」でした。
これは結構当たっていたと思います。
僕自身もクラッシャー上司とは無縁でないでしょう。
10代の頃や20代前半の頃、後輩に自分の価値観を押し付けて辛い思いをさせてしまった経験がありました。
クラッシャー上司化してしまう要素のひとつに「俺だけは許される」という甘えと傲慢さがある気がしてなりません。
これを僕は日々の戒めにしています。
今の仕事をしてずっと感じていたこと。
ブラック上司やクラッシャー上司など、職場環境の悪化は上司に起因することが多いのだろうけど、うちはブラック部下やブラック同僚みたいなのがゴロゴロ居る😒🤫🙄— 七海 ななみぅ (@seven_seas127) March 2, 2019
世界からひとりでもクラッシャー上司が減ることを願いつつ、筆を起きます。
時代が彼らを必要としない日々が、早く訪れますように。
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