まずはYAHOO!知恵袋から、発達障害・ADHDの彼女と付き合っている男性が書いている質問を引用しましょう。
大学生です。付き合ってる彼女の部屋が異様に汚い。ADHD診断されてるとか言われたけどそんなのは言い訳だと思います。
お互い一人暮らしだけど彼女のものが自分の部屋に溜まっていくのが耐えられません。床に物を置くな、ものは定位置に、ゴミはゴミ箱、食器は洗う、なんでこんな簡単なことができないんでしょうか。歯磨きも習慣づけられてないので虫歯も多いみたいです。
昔からずっとこうだったらしいですが、どうにか彼女を更生されられないでしょうか?別れたくはないです。
質問者さんの文章から、強い切迫感が伝わってきますね。
かつての僕は、この彼氏と同じように、発達障害・ADHDの彼女の行動をどうにか改善できないかと考え、様々なアプローチを試みました。
今回の内容は過去に発達障害・ADHDの女性と付き合ったことがある、僕の経験をもとにした記述が多く含まれています。
発達障害のパートナーへの戸惑いがある男性向けに書いていますので、ご参考にしていただき発達障害・ADHDへの理解を深めていただける嬉しいです!
発達障害・ADHDの彼女は専門学校の同級生
二十歳の頃、クリエイター系の専門学校に通っていた僕。Aさんは同級生ですが、年齢は僕のひとつ上の女性でした。
最初は男女数人のグループで、よく一緒に遊んでいた僕たち。
好きな映画や小説、漫画の趣味が近いころもあり、いつしか距離が近づいていき付き合うことに。
僕はどちらかといえば無口な方。彼女はエネルギッシュで、とにかくおしゃべりが大好き。
無口同士では凹と凹になるため、上手くいかないかなというのが当時の僕の考え。
彼女は凸タイプなので、凹凸がぴったり噛み合うと思いました。
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勇気を出しての告白!彼女の返事は…!?
お互い漫画や小説の貸し借りを頻繁にするようになり、その感想を言い合う機会が増えました。
分析力に秀でていた彼女の言葉を聞きながら
緻密で頭がいい女性だな
と僕は感じていました
勇気を出して人生初の告白。
彼女の答えはというと…
OKでした!!
「嬉しい…」と、はにかんだ笑顔が、かわいかったです。
発達障害・ADHDかな?と思った要素①「彼女が来ない初デート!いきなり遅刻!?」
晴れて恋人となった僕たち。
次の日曜日にある映画を見に行くことなりました。
しかし待ち合わせの時間になっても彼女は現れません。その作品は人気が高く、上映時間が変わると、チケットの入手が不可能。
彼女が現れたのは、待ち合わせから90分が経過した頃。
走ってきたらしく、かなり呼吸が荒くて滝のような汗、汗、汗。
平謝りする彼女を攻めることもできず、僕らは見たかったものと別の映画を見ることになりました。
今思うと、この出来事を境に色々な考えさせられることが増えたのです。
発達障害・ADHDかな?と思った要素②「忘れ物が多い」
とにかく忘れ物が多かった彼女。
それまで女性との交際経験がなかった僕は、「女の人はきちんとしているものだ」という幻想を持っていたのも確か。
その分、ショックが大きく「なんて注意散漫なんだろう…」と当時は感じていました。
遅刻した際に、Aさんが携帯電話を持参していれば、連絡をとることができます。
しかし携帯を家に置いてきてしまうことも多く、待ち合わせ場所で身動きがとれずに待ちぼうけだったことも頻繁にありました。
発達障害・ADHDかな?と思った要素③「会話が一方的」
さきほど、「無口な僕と饒舌な彼女は凹凸が噛み合うだろうと考えていた」と記しました。
しかし、付き合ってからAさんのおしゃべりに拍車が。
口数の少ない僕でも、例えば好きな作品などについては語りたいもの。
しかし僕が話し始めると、彼女はすぐに会話の主導権を奪い、長時間のマシンガントークを始めるのでした。
これには正直、閉口しましたが、僕を信頼して
この人ならたくさん話しても大丈夫♪
と考えがあったのでしょう。
たまには僕の話も聞いてほしいな…
というのが本音でした。
発達障害・ADHDかな?と思った要素④「汚部屋だった」
交際して少し経過した頃、彼女の部屋へ遊びに行かせてもらうことに。
最初に訪ねたときは、物が多い部屋だという印象でした。
しかし心を許しているからなのか、回を重ねるごとにAさんは露骨に部屋の片付けをしなくなりました。
最後の方は完全に汚部屋化。
僕も整理整頓が得意な方ではなかったものの、見かねて何度か彼女の部屋の片付けを手伝いました。
しかし何日もしないうちに部屋は物で埋まり、またすぐに汚部屋化。
何度か「もっと綺麗にしたら?」と伝えたものの、変化の兆しはなし。
だんだんと僕の部屋で過ごす機会が増えました。
発達障害・ADHDに関する知識がない僕…彼女を責める展開に
今は発達障害やADHDなど、自閉症スペクトラムに関する本や漫画がたくさん出版されるようになり、ある程度、みなさんも知識が増えていると思います。
しかし当時は、まだそういった出版物もなく、僕はただAさんのことを「いい加減な人間」だとしか認識していませんでした。
そしてある日、長時間話し合いをする機会を設けました。
発達障害・ADHDの彼女は自己肯定感が低め
僕はAさんのことを、自分本位で反省しない人だと思い込んでいました。
しかし彼女と話し合ってみて、わかったことがありました。
Aさんは「今の自分を変えたい」と、強く感じていました。
・遅刻 ・物忘れ ・一方的な会話 ・散らかった部屋 |
の、いずれに関しても強い劣等感を抱いていました。
もちろん「今の自分を変えたい」というのは本音なのですが、どれだけ改善しようと思っても上手くいかないというのです。
僕は「Aさんは開き直って、改善する気そのものがないに違いない」といった先入観を持っていましたが、それは間違いでした。
ちなみに彼女が僕よりも年齢がひとつ上だったのには理由があります。
高校を卒業してから一年間、何をしたらいいかわからず、引きこもりがちな日々を送っていたからというのも、話し合いのときに教えてくれました。
その期間、たまにアルバイトをしたものの、遅刻やミスが多いため、クビになるなど、自信を育めないままだったと言っていました。
ちなみに学生時代も度重なる遅刻や忘れ物で、教師からは「ダメな生徒」の烙印を押されてつらかったそうです。
彼女が専門学校に進んだのは、一大決心だったのです。
発達障害・ADHDの彼女と交際一年半で決意したこと…
最初は楽しかった彼女との交際も、正直、僕には辛いものへと変化していきました。
じっくり話し合った結果、交際から一年半で別れることになりました。
Aさんとの恋愛は、当初思い描いていたものと、かけ離れていました。
しかし彼女が生きづらさを抱えつつも、一生懸命、前進しようとしているのはそばにいて、すごく伝わってきました。
恋人ではなくなるものの、何らかの違う形で力になれればと考えていました。
しかし具体的にどうしたらいいかわからず、別れてから僕が何かできたというのはなかったのです。
Aさんと別れてから、彼女が発達障害・ADHDであることを知る
Aさんと別れて数年後のある日、僕は図書館で自閉症に関連する書籍を借りました。
元々、人の心や精神、心理学系の本が大好きでしたが、自閉症の知識は皆無。
読み進めていくうちに何度も「そうだったのか!」と、ひとりでつぶやいていました。
発達障害・ADHDの特徴が、ことごとくAさんの持つ性質に合致するのです。
僕は「もっと早く知っていれば…」と、思いました。
Aさんの脳が発達障害・ADHDの特性を持っているとわかれば、接し方も変わっていたはず。
感情的になった際は、つい「同じことを何度も言わせないでよ!」「ちょっと、いい加減すぎない!?」などと、口にしていたこともありました。
彼女はきっと上記の言葉を言われる度に、傷ついていたはずです。
発達障害・ADHDの彼女はその後、めでたく結婚!
Aさんとは友達に戻り、たまにメールのやりとりをすることになりました。
別れる際に、お互いが言いたいことを伝えて、納得する形をとれたため、そこまで大きなわだかまりもなかったのです。
ある日、Aさんから
結婚することになったよ!
というメールが届きました。
僕は心底「良かった」と思いました。
彼女はその純粋さ、人柄の良さから友達にも恵まれており、周囲にはたくさんの優しい人が集まってきていました。
夫になる彼は、きっと理解のある温和な人なんだろうと、勝手に僕は想像しました。
夫から「君って発達障害・ADHDじゃ?」と言われたAさん
Aさんが結婚してから、一度、食事に行く機会がありました。
彼女から「昔は色々と迷惑をかけてごめんね」と謝られました。
「僕の方こそ、ごめん」とお互い謝罪する形になったのですが、Aさんが神妙な顔でこんなことを言いました。
旦那さんから
あなたは発達障害、ADHDかもしれないね
と、指摘されたというのです。
以前から「自分は発達障害・ADHDかも?」と、感じていたAさん。
現実を突きつけられる怖さがあり、見て見ぬふりをしてたのだとか。
しかし最も信頼できるパートナーから言われたことで、病院に行く決断ができたのでした。
病院で診断を受け、ドクターから
発達障害・ADHDに該当しますね
と告げられた彼女。
今は処方された薬を飲んでおり、「ミスが少し減った」と口にしていました。
発達障害・ADHDは脳が持つ偏りであり特徴。
身長に置き換えるとわかりやすいかと思いますが、成人した人が身長を自在に変えることはできませんよね?
発達障害・ADHDなどの自閉症も、同じです。
「その特徴はずっと存在するもの」と、捉えればわかりやすいかもしれません。
ずっと発達障害・ADHDの特徴を持って生きていくのです。
【最後に】発達障害・ADHDの彼女と付き合って感じたこと
もし自分がAさんと交際していたときに、発達障害・ADHDの知識があれば、どうなってただろう?
と何度か考えてことがあります。
過去をやり直すことはできないため、検証自体が不可能なのは確か。知識があろうとなかろうと別れていたと思います。
僕はかなり過敏でストレスを感じやすい性格であるHSPのため、極端に衝動的であったり感情的である人と、長時間一緒にいることはできません。
なので別れるのは、ある意味、必然だったのかなと思っています。
Aさんには、すばらしいパートナーができました。
彼女もそうですが、発達障害・ADHDの人達は、性質を理解されづらく他者から叱責される機会が多くなるため、どうしても自己肯定感が下がりがちになるようです。
生きづらさを抱えた彼女に、最良のパートナーができたのは、とても喜ばしいことでした。
去年、Aさんから届いた年賀状には
二人目の子供が生まれました♪
と、こちらの顔がほころぶ報告が。
仲睦まじい家庭を築き、今ではしっかりとお母さんをしています。
【参考記事|HSPとしての生き方を見つけるまでの筆者のいきさつ】
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